孫が市内にある県立中学校を受けたいと言うので、カミさんが調べたら願書受付が週明けすぐだという。ま、気まぐれだからどうでもいいことなのだが、そう言えば、先日やはり中高一貫の高校を卒業したという学生に出会った。その学校はまだ、中高一貫校になる前の高校だけだった頃にいろいろ資料の提供などで世話になった経緯もあって創立○○周年の講演もさせてもらったこともある。また、現在の校長は古くからの友人で、彼は学究肌の、というより学究であって、かつて学部は違うが同僚であった某先生の教え子でもあった。
それはともかく、中高一貫校を文科省が推進していると同時に小中一貫校というのも進められ、義務教育学校という制度も作られた。日本の学校制度は小中高の単純な単線型システムに高専というのが入り込み、ここにきて中高一貫の中等教育学校と小中一貫の義務教育学校という二つの制度が鼎立することになった。いや、従来の小中高のシステムと合わせて三つの制度が存在するというまさにポリシーのない学校教育制度となってしまったのである。この国は教育に関しても、ポピュリズムに押されて理念なき学校教育制度を抱え込んでしまったことになる。
これは一つの国家としての見識にかけるということである。尤も、中等教育史を研究してきた身としては中高一貫のほうがいいとは思う。しかし、義務教育が小中と限定されているのがもう一つの課題だ。しかし、こちらには教育理念はない。もとい、義務教育を延長した帰結であって、中学校は前期中等教育という中途半端なところで終わっている。中等教育ならば後期まで含めて義務教育か否かのくくりにすべきだったのだ。なので同じ中等教育でも別々の教育論理を持ってしまったのでどちらもおかしなことをするようになってしまった。というのは義務教育の完成形としての中学校教育は高校受験という問題に対処するように追い込まれ、高校教育は大学予備校化するか、とりあえず就職準備をさせるかというような高校教育の理念を捨てざるを得ない状態になってしまっているのである。中等教育をひとつの制度に納めれば多くの問題は解決できるはずだ。
それは高校までを義務教育にすべきだということである。義務教育というのは行かなければならない教育ということではない。教育を受ける権利を日本国民は持っている。その権利を行使するのを妨げない義務が国にはあるという意味での義務教育だ。ということで高校教育の無償化は絶対に必要な措置であると考えられる。
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